西田は打ち明ける。 「大学院の時から持ち続けているテーマとして、認識と利害の関係がある。人間の利害と無関係な、純粋で正しい認識は成立するのか。これはまさに二律背反だが、いまだに私には解決できない。今でも解こうとしている」 人は物事を認識する時、利害や偏見が邪魔をして正しく認識できないことがある。だから、自分自身を突き放して、様々な立場から物事を見つめ直すことが重要だというわけだ。 「一歩引いて真理を認識する。それは非常に難しい。この訓練はずっとやり続けなければならないし、唯一、実現できるとすれば、それはコミュニケーションの先にしかない」 冷徹に利益を追求すると同時に物事の真理を探究する──。経営者と哲学者という2つの顔を持つがゆえに、西田の行動は必然的に二律背反的になる。言い換えれば、その葛藤を克服することこそ、人生の目標かもしれない。
Posted August 7, 2009 at 3:13am